鈴木おさむ

情熱大陸」で鈴木おさむに密着。
私は普段ラテ欄をチェックした上で見たいものを決めるのだけど、きょうの番組は見るかどうか迷っていた。しかし、この番組をみてよかったと思う。やっぱりテレビを作っている人たちは本気でテレビを好きであり、そうでなければいけない仕事であろうと思う。視聴率を絶対の尺度として、言い訳せずにそれを取り行く姿勢に、プロとして尊敬すべきものを見た。
しかし、エンドで奇しくも本人が言っていたことが、テレビ界の現状を現わしていて、テレビがつまらないと言われる原因だと思う。時のスターが出演しトークや歌を披露する番組の企画が未来のテレビの企画というのは、ちょっとばかり寂しすぎやしないだろうか。スターが産まれ、スターに憧れ、その仕事を目指す人が増える。そんな循環がなければ、エンターテイメントの世界はだめだと思う。
いまキー局の番組は、視聴率が取れなければ存在意義のないものばかりであり、テレビ局というビジネスが巨大な金額が動くビジネスである以上、仕方のないことかもしれない。しかし、いまのテレビは自己規制が多く、ローカル局ですら、いろんなことを考えながら制作している部分は否定できない。これがキー局ともなれば、不自由な気持ちを感じることも多いにちがいない。おそらく、本当に面白いことは、トップに行けばいくほど出来ないはずだ。
多くの人に受け入れられるものを目指すあまり、作り手がほんとうに面白いと思ってつくっているものはリスキーな行為となってしまう。「深夜しか面白い番組がない」という20〜30代の視聴者の声や、「水曜どうでしょう」に代表されるローカル番組などの人気も、根っこは同じで、つまり結果として、無難な毒のない番組が多く作られ、過激なものやきわどい内容の番組が作られる数が少なくなってしまう。
きっと、鈴木おさむは物凄く面白い人物に違いない。しかし、放送作家に徹する限り、カルト的な支持を得るような番組は産まれないのではなかろうか。まあ、本人はそんなこと望んでもいないだろうけど。