爆問学問

アカデミックなだけに、時折議論が空虚なものにもなりがちな「爆問学問」だが、きょうの教授は素晴らしい話をしていた。東京大学福島智教授である。
全盲ろうという障害を抱えた教授の研究分野は「障害学」。まさに、実感と理論と哲学が伴った研究分野なんであろうと想像した。太田光ホーキング博士スティービー・ワンダーの例をあげて「障害」ということの意味を考えていたが、これはちょっと空虚というか、詭弁に近づいていくような論理であり、才能の部分は、障害者の話題としてフェアな比較対象ではないと思う。太田光の議論の仕掛け方は、この放送に限って言えば、あまり優しさを感じられなかった。実感の伴わない議論というのは、時に上滑りしかねないものなのかもしれない。
番組中で福島教授は「障害者には下宿を貸してくれない」なんて体験を例にあげていたが、障害ということの本質は、障害者の人が日々感じる、生活におけるハンディキャップの部分だと思う。
何だかんだ言っても、障害者の人にとって障害は個性ではなくハンディキャップであると私は思う。このことを踏まえて、障害者の生きる意味を哲学として考えるという学問「障害学」という分野は、非常に興味深い哲学だと思った。
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