放送とインターネット上の記事

ちょっと遅いが、以下は広島県知事選についてのニュースに関する、BPOの「権利侵害申立てに関する委員会決定」からの抜粋。
ちなみにこちらの“no title”はBPOのホームページです。
[BPO]放送倫理・番組向上機構の ホームページが新しくなりました。 | BPO | 放送倫理・番組向上機構 |

(委員会の判断)
当委員会は、インターネットによる情報発信が被申立人の主体的意思に基づくとはいえ、遅くとも2007年4月29日、本件報道についての動画と音声を停止して文字情報のみを配信するに至った時点において審理対象としての放送と同視できる状態ではなくなったと判断する。
(中略)
当委員会としては、放送終了後、放送事業者においてまったく同一の内容が動画・音声を伴ってインターネット上に配信しているにもかかわらず、期間制限の起算時を放送時点に限定することは、当委員会の存在意義に照らしても、また放送被害の救済の必要性、放送対象者の人権の擁護という観点から見ても硬直しすぎるとの批判を免れないと考える。
(中略)
現時点においては、「放送」による人格権の侵害を視野において設置された当委員会の職務権限としては、これをインターネットにまで広げるとしても、放送と同一内容の動画・音声による配信が行われており、しかもそれが通常の方法によってアクセスできる限りにおいて審理の対象とすることはともかく、一般的な動画・音声配信が停止された以後の状態にまで及ぶとすることはできない。

実は私が勤務する局にも同じような電話がかかってくることがあった。そちらの方は文章で書かれている記事に対しての苦情で、過去の記事に容疑者としての名前が載っているとして削除を求める内容(本人からではない)だったのだが、中身としてはけっして遠くはないと感じる。
放送として流れるニュースは、いまやどこの局もHPにアップすることが多いと思うが、似たようなケースを経験しただけに、今回のようなケースに対して、TVとインターネットは同一ではないという判断が非常に興味深く感じられた。