名ばかり管理職

きょうのNHKスペシャル名ばかり管理職」は、「ワーキングプア」に続く新たな流行語の可能性もあるのではなかろうか。
NHKスペシャル
番組の序盤は、マックやコンビニに勤める店長の勤務実態に関して、中盤から終盤にかけては、実際に「名ばかり管理職」を止めた企業の苦悩を描いていた。過労で倒れ、おそらく未だ意識を取り戻していないファミレスの店長だった男性の両親が出演していたが、この例なんてのは、人として、勤務先の企業を許せないと思う。しかし、それ以外は、どの立場の人たちの悩みもわかるだけに、難しい問題だ。
まず、なによりこの問題で深刻なのは、外食産業や小売産業といった、長時間営業を続けるサービス業に携わる皆さんだと思う。私も学生時代にアルバイトの立場から見ていて、あの仕事にはなるべく就きたくないと感じたものだ。我々消費者が得られる利便性は、彼らの犠牲の上に成り立っていることを改めて認識しなければならないだろう。
一方、残業を規制したために働きづらくなった工場のラインの責任者の方が出演していたが、これなんてのは企業も社員の方も良心的なだけに、難しい問題だと感じる。私も残業が長引くときに書面を提出しているが、これが面倒くさくてしょうがない。なんで会社にそんな許可をもらわなければならないのかと感じる。社員のためにやっている制度だけども、社員からすると働きづらくてしょうがないという矛盾が、なんとも言えず難しい問題だ。
一民間企業に勤める従業員としての立場からすると、私の会社の制度も、管理職とは名ばかりで、残業代をカットされるという制度にしか見えない人事制度と思える。こういった制度を続けていては、いずれ職場のモラルも下がるだろうし、なにより昇進したくなくなってしまう。一般的な企業では、おそらく課長あたりのクラスが管理職ということになるのではないかと思うが、これくらいのミドルクラスの強さが企業の強さであると私は思うので、とにかく、有能なミドルクラスの人たちには何らかの形で報いる必要があると思う。最終的には給与しかないと思うが……。
あらゆる業種で、この「名ばかり管理職」の人たちはいるはずだ。今後の経営者には、社員に対する思いやりが求められるべきことだと思う。