水俣病

今日はあるニュースをみて、感じることがあった。


http://www.mainichi-msn.co.jp/science/env/news/20060501ddm001040025000c.html/

http://www.asahi.com/national/update/0501/TKY200605010168.html/


水俣病というのは、公害の原点であると言われている。
私はこれまで特に水俣病に興味があったわけではないが、ニュースを見て、
いまだ患者が増え続けていることを知り、
首相がご機嫌取りにアフリカで何億円か支出しつつ、
水俣には顔を出すこともしないということに疑問を感じた。


いまだに救済されない人が、水俣にはいる。患者を取り巻く環境も厳しいようだ。

「公害の原点」と呼ばれる水俣病は1日、公式確認から50年を迎えた。午後1時半から熊本県水俣市で犠牲者慰霊式が始まった。

1万人以上の未認定患者に一時金が支払われることで1995年に「政治決着」したとされながら、今なお、約3900人が補償を求めて認定申請しているほか、国や原因企業・チッソなどを相手取った1000人規模の損害賠償請求訴訟が係争中だ。水俣病問題は半世紀を経ても解決の兆しが見えない一方、環境破壊に対する警鐘を鳴らし続ける。

慰霊式は、原因物質・メチル水銀を含むヘドロを埋め立てて造成されたエコパーク水俣親水緑地で行われ、患者や遺族をはじめ、小池環境相潮谷義子熊本県知事、後藤舜吉チッソ会長ら約1000人が参列した。

家族5人のうち夫と二男を失い、胎児性患者の三男を抱えて自らも水俣病に苦しむ金子スミ子さん(74)ら5人が、3月に完成した「水俣病慰霊の碑」に水をささげた。続いて、亡くなった認定患者のうち、遺族が希望した6人の名簿が納められた。

午後1時40分には、全員で犠牲者の冥福(めいふく)を祈って黙とう。同時に、水俣市などが、サイレンを鳴らして黙とうを呼びかけた。
水俣病は56年、チッソ付属病院の細川一院長(当時)らが水俣保健所に「原因不明の脳症状を呈する患者4人が入院した」と報告したことをもって、「公式確認」とされている。
メチル水銀は公式確認から12年後の68年まで排出され続けたため、被害は水俣湾にとどまらず八代海沿岸全域に広がった。

この間、熊本県水俣湾の魚介類に対する食品衛生法適用の可否を厚生省(現・厚労省)に照会するなど、被害拡大阻止の機会は何度もあったが、漁獲禁止や排水停止の法的措置は取られなかった。
行政による認定患者数は3月末現在、熊本県1775人、鹿児島県490人の計2265人。このうち1577人が死亡した。
「政治決着」を唯一、拒否した関西訴訟の最高裁判決(2004年)は国と熊本県の被害拡大責任を断罪し、手足の感覚障害など複数の症状の組み合わせを求める現行の認定基準より緩やかな基準を採用した。
しかし、国が現行基準を堅持する方針のため、行政と司法の「二重基準」状態となり、熊本、鹿児島両県の認定審査会は約3900人の認定申請がありながら、機能しない状態になっている。
公式確認当時、チッソの元工場長が市長を務めた企業城下町水俣では、当初、伝染病が疑われたこともあって、差別や偏見で地域の人間関係に摩擦が生じ、94年の慰霊式では、吉井正澄市長(当時)が、市民のきずなを結び直す「もやい直し」を始める、と宣言した。(読売新聞)

ひょっとすると中にはニセ患者もいるかもしれないが、
しかし、彼らのような被害者を救わないことには、国家はその責務を果たしたとは言えないだろう。
国家に関わる公害や薬害問題というのは、
四大公害病にはじまり、最近でも薬害エイズ問題やアスベストの問題など、
例を挙げれば枚挙に暇がない。
日本は国家として、どう落とし前をつけるのか?
これまでの誤りを正すことはできないのか?
そんなことを考えた。


そして、このニュースを見て「愛国心」という言葉についても考えた。
国家を愛するためには、国にそれなりの対価を求めてもいいのではないか。
今国会で議論されている愛国心という言葉には、そういう側面もあるはずだ。


弱者を救えない行政。
そんな国に、未来はないと思う。