[番組]寺内貫太郎一家

久世光彦追悼企画」と銘打たれた「寺内貫太郎一家」の放送を見た。
こういった編成には、TBSの大功労者に対するリスペクトみたいなものが感じられる。


久世光彦演出の代表作がこの「寺内〜」だと思うのだけれど、ある一定の年代以上の方には懐かしいだろう。


今見ると、小林亜星の芝居も、おばあちゃんなのに明らかに若い樹木希林も新鮮だし、
「芸能人になるとトヨタセンチュリーに乗れるよ」なんて台詞での、スポンサーへのサービスも新鮮だ。


しかしあらためて思うのは、三十年くらいで社会は大きく変化するものだなあ、ということである。
この当時でさえ寺内家はファンタジー的存在だったと思うが、
例えば黒電話とか、こたつの手前側に誰も座らない食卓の風景とか、やはり今の世には存在し難いものだと思う。
初婚だ再婚だと揉めるのも、最近のTVではまずありえないテーマだろう。
そういう意味では、いまこのドラマをやっても数字は取れないかも知れない。


だが、思わずニヤリとする演出が随所にあるし、最終回なんて、わかっていてもホロリとしてしまう。
名作ドラマというのは、時が経っても視聴者をひきつける不思議なパワーを持っていると思った。