電波利権

新潮新書の「電波利権」という本を読んだ。
電波利権 (新潮新書)


この本の著者はかつてNHKで研究者をしていた方らしく、
現在は研究所の所長という役職に就いていらっしゃる方である。
本屋さんの平積みに置いていたのを何気なく手に取ったのだが、大変勉強になった。


本の内容は、電波がいかに既得権益と化しているか、そしてテレビ局がいかに既得権益に守られて商売しているか、
というものなのだが、
電波を使用する携帯電話やテレビがどういった仕組みで動くのかということの理論や、
技術的に見た日本のテレビの歴史については、知らなかったことばかりであった。
(私が知らなさ過ぎなのかもしれんが……。)


一方、納得がいかない部分もいくつかある。
たぶん、編成や業務、営業などの部署で働いている人間からすれば、
いろんな政治的力学が働いているのは当たり前のように感じているので、
郵政や道路公団以上の抵抗勢力を本気で叩く気持ちがあるのか? ってことを思うし、
番組の制作という面で見ても、
そんなに放送局に権限を持たせなくなかったら、
IT関連の会社なんかは、自分たちで制作会社と組んで番組作ればいいんじゃないの? と思ってしまう。
今時、放送局はそれほどクリエイティブ能力は持っていない。


まあ、技術屋さんと内勤・外勤の人間は考え方は全く違うし、制作や報道の人間も考えることは全く違う。
感想としては、
「理屈はおっしゃるとおりだけど、そんなこと言ってたらCM広告で食っていけねえよ」
って感じである。
そもそも、テレビなんてのはキー局があれば良くって、ローカル局はいらん、ってことならしょうがないんだけど。