結論はわかるが…

ダイヤモンドオンラインの記事を見ていたのだが、なんだかすっきり納得できない感じ。頭のいいコンサルの理屈には反論できないが、納得はできないという感じの文章である。
http://diamond.jp/series/dw_special/10077/
「TV局は合従連衡が必要」という結論は正しいと思うが、結論に至るまでの提言には、正直言って良く分からない部分がある。
まず、なぜ一つの局が複数チャンネルすれば儲かるのか? 
そもそも、文中に出てくる「マスメディア集中排除原則」は、売上の減少とは何の関係もないはずだ。各局ともその時間帯に合わせて番組を編成しているのだから、視聴習慣やターゲット層の在宅時間などを考慮しない編成は意味がないのではないか? 1局2波の体制となっても、GRPを局数で割るだけの話で、この論法でいけば、収益を上げるには、局数を減らすのではなくチャンネル数を増やしてCM枠自体を増やさなければ意味がない。
また、ターゲット層がアッパークラスであっても主婦層であっても、TVのバイイングにはそれほど料金的な差はないのではないか。
おそらく、バラエティ番組と「報道ステーション」「WBS」などのような番組を念頭に置いたものだと思うが、なにも、スポンサー銘柄の筋が良ければ料金が高いというわけではない。例えば、資生堂とテレショップの企業が同じ枠で90秒の枠を買えば、テレショップの企業の方が単価は高いのではなかろうか。また、バラエティでも、番組自体に人気があれば提供枠を欲しがるスポンサーは出てくるはず。つまり、バラエティでも質次第では高い料金が稼げるのではなかろうか。


こういった議論の一番の問題点は、ターゲット層やマーケティングで番組を作っているのが、現在のテレビの不振を招いたということとの矛盾である。
キー局の編成が、ターゲット層の獲得やマーケティングなどを優先して企画やキャスティングをしてきた結果、テレビに同じような顔ぶれが並ぶというのが現状の問題点である。それを無視して、さらに細かいマーケティングを行った番組作りをしても、あまり意味がないように思う。そもそも、1社独占でチャンネルを複数用意するなら、ターゲット層ごとの番組作りはできるだろうが、市場に2社以上が存立する限り、ターゲット層は重なるはずである。


しばしば思うのだが、ソフト作りの基本は「面白いか面白くないか」である。ソフトの力を考慮せず、「コンテンツ産業の強化」なんて言っても無駄である。ターゲット毎にセグメントした番組編成をしようが、局数を減らそうが、番組が面白くなければ誰もテレビを見ない。
視聴率を前提としたメディアバイイングの現状がある限り、局にできることは、セールスの方法を考えることと視聴率をたくさん取って売り場面積を増やすことしかないと思う。