神戸新聞の7日間

フジテレビのドラマ「神戸新聞の7日間」を見た。
いいドラマだった。思わず涙を流した。当時の思いが、伝わってきたような気がした(正直言うと、ちょっと「クライマーズハイ」の2匹目のドジョウを狙ってきた感じもしないでもないが)。
http://wwwz.fujitv.co.jp/kobe/index.html
おそらく、地方紙で働く人たちには「地元のために働く」という誇りがあると思う。どの県にもある地方紙には、当然ながら地元を代表するオピニオンリーダーであり、地元のニュースを伝えるというプライドがある。普段の取材においても、そのプライドは間違いなくほかのメディアの人間にも伝わってくる。
ひとたび地元に大災害が起きた時、地元のことを最も深く伝えられるのは、地元のメディアでなければならないと思う。それは紙のメディアも電波のメディアも同じことだ。おそらく、震災時には神戸新聞だけでなく、サンテレビラジオ関西Kiss-FMも同じ思いであっただろうと思う。一方で、記者の人たちが感じた葛藤は、おそらく尋常なものではなかったとも思う。何が必要かといった筋道論の前に、自らが被災者であり取材対象者と同じ立場に置かれた住民でもあるのだ。
ただ、地元紙というのは、ほかとは別格の存在感と地元民の信頼感を得ている。神戸新聞にとって、新聞を出すということは、自らの存亡を賭けた戦いであると同時に、日頃の信頼に応えて見せるというプライドを賭けた戦いであったのではないかと思う。このドラマに対し、別の地方紙の記者が反応したことも、その気持ちはわかる気がする。
http://d.hatena.ne.jp/shinsai15/
ドラマの中でもあったが、論説委員の方の社説は、私にとっては、仕事への戒めであった。そして、正直なところ、私は普段「伝える」という仕事に、それほど誇りを感じたことはない。しかし、このドラマで、あらためてローカル局のプライドというものを考えさせてくれた。