ドキュメンタリーをなめるな

明暗分かれた秋の新番組。まずはTBS。

10月番組改編の目玉として、鳴り物入りでスタートさせたドキュメンタリー番組でTBSが苦戦している。井上弘社長は定例会見で「一朝一夕で視聴率をとれるわけではない」と苦しい弁明をした。
その番組は、関口宏(65)がMCを務める「水曜ノンフィクション」(水曜午後9時)。15日の初回の2時間スペシャルは6.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ、以下同)、22日の第2回は3.6%で、世界恐慌をテーマとした29日の第3回は5.5%にとどまった。
番組は、VTRとスタジオトークで構成しているが、放送担当記者からは「これでドキュメンタリーといえるのか。情報番組ならわかるが」という鋭い突っ込みも出た。
吉崎隆編成局長は「完敗を認めてから始めないといけない」とし、「視聴習慣が定着しないとだめ。なるべく旬なものを取り上げていきたい。見終わった後に“見てよかった。勉強になった”と思ってもらえるよう地道な努力をしていきたい」と語った。(以下略)
[夕刊フジ]

つづいてテレ朝。

テレビ朝日系新番組「報道発 ドキュメンタリ宣言」(3日午後7時)の平均視聴率が関東地区で22・9%(関西20・6%)と、高視聴率を記録したことが4日、ビデオリサーチの調べで分かった。瞬間最高は27・0%だった。内容は「長門裕之南田洋子夫婦 密着ドキュメント」というタイトルで(以下略)
[nikkansports.com]

個人的には、TBSの「水曜ノンフィクション」は、やはり情報番組だと思う。ドキュメンタリーとは、取材対象の瞬間瞬間を切り取ってつなぎ合わせたものであって、旬の情報を集めたものではないのではないと思う。ドキュメンタリー番組には、演出はあってもいいが、旬の情報を集める必要はないのではなかろうか。
実際に番組を見ると、「水曜ノンフィクション」は、面白くない。どこかで見たような映像の切り貼りで、視聴習慣どうのこうのではなく、あれでは見る気にならないと思う。一方、テレ朝の「ドキュメンタリ宣言」は、じっくりと夫婦を取材し、テレビドキュメンタリーならではの番組だったと思う。何といっても南田洋子のあまりにも変わってしまった姿に、目を奪われた人も多いはずだ。
テレ朝の「ドキュメンタリ宣言」は、面白かった。もともと、報道系のエンタテイメントは得意なテレ朝なので、今後の番組も視聴率・内容ともに期待できるのではないかと感じた。一方のTBSには、土曜夕方の「報道特集」であったり、系列の老舗各局の番組であったり、周囲にはいくらでも素材が眠っているはず。なにもあんなつまらん内容でゴールデンを張る必要はない。ガラッとムードを変えた本格ドキュメンタリーが見たいと思う。ドキュメンタリーを見るような視聴者層は、そもそも重厚な中身の番組を求めているはずだ。