楽天とTBSのメリット

もっとも、楽天がTBSを買収してもいいのかというと、そうでもないと思う。
一番の問題点は、
楽天はTBSを買収することによってメリットはあるかもしれんが、
TBSには何のメリットがあるのか? ということだ。


ニュースを見た限りでは、
「TBSのCMと楽天のインターネット市場を結びつけて、CMスキップに対抗する」
楽天のポイント付与などで、視聴率に頼らないビジネスモデルを構築する」
なんてことを提案しているようだが、
TV局員から見ると、TBSにはあまりメリットが感じられない。


TVの商売は、どれだけ視聴者の分母が大きいかで収益が決まっている。
なぜキー局が高い収益を挙げられるのかと言うと、
視聴者が4000万人もいて、影響力が高いからであり、
広告の費用対効果の面で優れているからだ。


たとえば、スポットCMのパーコストをキー局とローカル局で比べると、
東京と大阪でも2倍近く違う。
基幹地区でさらに大阪の半分〜3割程度だし、
九州や東北の各県の局とキー局を比較すると、ゼロ2つくらい違う。
(こういう商習慣が良いか悪いかの判断はとりあえず置いておきます)


今後、TV広告のメリットはますます減っていくかもしれないが、
企業からのメッセージを薄く広く浸透させるという点では、
地上波の優位性は、あと何年かは変わらないだろう。
そんな中で、TBSの視聴者を楽天のグループに囲い込むことは、
すなわち視聴率ビジネスとは矛盾することになる。
そんな提案にTBSが乗れるわけがない。


楽天のポイントがもらえるからTBSを見よう、なんて人はそう多くない。
“楽だから・まあまあ面白いから・情報が欲しいから”TVを見る。
TVなんて所詮その程度のもので、
寝転がってダラダラ見られるから、みんなが見るのだ。
TBSを擁護するつもりは全くないが、
私は楽天の提案にはあまり魅力を感じない。