IP放送について

なんだかよくわからない、という人が多いと思うのだが、
地デジと共に、IP放送というのも、ローカル局にとって死活問題になりかねない状況であると思う。
もっとも、私は技術に詳しくなければ、経営者でもない。
正直言って、よくわからないのだけど……。

毎日新聞 2006年6月5日 東京朝刊>

IP放送:「同時放送」に限定 著作権の一部、簡素化/放送と通信の融合、不透明
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060605ddm012040146000c.html

 ブロードバンド(高速大容量)通信網を通じて契約家庭に動画を配信する「IPマルチキャスト放送」で、地上波や衛星のテレビ番組を好きなときに見られるようになるのか−−。障壁となっていた著作権処理について、文化庁の審議会はこのほど、通常の放送の同時再送信に限り、ケーブルテレビ(CATV)並みに手続きを簡素化する報告書の骨子案をまとめた。人気番組の再放送や自主制作番組は結論を先送りし、「放送と通信の融合」の行方は不透明だ。しかし、IP放送は地域に限定されない放送が可能で、経営基盤の弱いCATVや県域免許の既存放送局にとっては脅威となる。【横井信洋、臺宏士】

◇急がれた結論
この技術(IP放送)やビジネス、両省(文化庁総務省)にまたがる法律を理解したうえで審議しているという気持ちにはなっていません」4月に開かれた文化審議会著作権分科会法制問題小委員会。委員の松田政行弁護士は、そう打ち明けた。
 著作権に関する著作が多い松田弁護士は、青山学院大法科大学院の教授で、総務省の放送関連の委員も務めた専門家。著作権法の改正だけでIP放送の問題に対応できるのか疑問を示し「1年くらい議論してもいいのでは」と訴えた。
 IP放送は電気通信役務利用放送法上は「放送」扱いだが、CATVと異なり著作権法上は「通信」扱い。例えば番組に使われている音楽なら、事前に歌手やレコード会社の許諾を取り付けなければならない。放送局が過去に放映した人気ドラマをネット配信する場合も同じだ。
 IP放送の位置づけを議題とした小委員会の初会合は3月30日。2カ月の審議で方向性を示すことになった背景には、11年の地上波デジタル放送への全面移行がある。年末にはIP放送事業者による地デジの同時再送信が始まるためだ。放送と通信の融合や売れるコンテンツの流通促進を視野に、政府の知的財産戦略本部が2月に手続きの簡素化を提言。小坂憲次文部科学相著作権法改正を明言し、「(審議会には)遅くても夏ごろまでに結論を出していただきたい」と促していた。


(中略)


◇全国配信化に危機感
◇民放経営揺さぶる
 「IP放送を使ってテレビ番組を全国に配信する会社が登場すれば、特に地方放送局の事業と衝突し、地域免許制の意義を壊すことにつながりかねない」。東北地方のある民放幹部は懸念を示す。
放送法上、地方局が放送できる範囲は、県単位が原則。放送の区域外送信はできないが、IP放送による再送信は技術的には全国への配信が可能だ。新規参入は、相対的に地方局の視聴率低下を招き、CM単価に跳ね返り、経営を揺さぶりかねないという不安がある。
 竹中総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」が1日に公表した報告書案では、IP放送について「技術の観点からは、再送信に地域限定を設けるべきではない」と明記した。通信事業者の中にある「キー局の人気番組を系列のない地方でも見られるようにすべきだ」という考えを反映したとみられる。
 これに対して、日本民間放送連盟は2日、「情報発信の充実に逆行するものと強く危惧(きぐ)する」との意見を発表した。ある関係者は「地方局の経営が揺らげば、公権力の監視などを通じ地域住民の知る権利に奉仕し、多様な地域の映像情報を発信する力を弱めかねない。IP放送の著作権処理の一部簡略化はその第一歩だ」と批判する。


服部孝章・立教大教授(メディア法)は「骨子案は、通信の技術や政策の視点からの議論のみに基づいた内容だという印象だ。放送の在り方にもつながるものであり、放送制度全体を視野に入れた議論が必要だったのではないか」と指摘する。

このIP放送というものについては、
「全貌が見えないので何ともいえない」というのが正直なところだと思う。
そもそも、法律で規制されているから県域ごとに免許が交付されるわけで、
NHKみたいに全国方式にしようと思えば、できないことはないはずだ。


県域放送というものがそもそも必要なのか、問題はそこにあると思う。